「三国志」の中でも人気の登場人物、関羽。文武両道で、仁義を尊ぶ人物。その豪傑振りを語る武勇伝は多々ありますが、「毒矢を受けた際、骨にまで毒が染み込んでいた為、肘を切開して毒が染み込んだ部分を削り取らせた事があったが、宴会の最中であったにもかかわらずその場で切開させ、痛むそぶりも見せずに酒や肉を飲食し、平然と談笑していたという」、そして性格面では「自尊心が非常に高い事が挙げられる」そうで、三国志の中にも「関羽は剛情で自信を持ち過ぎ、張飛は乱暴で情を持たず、両者共その短所により身の破滅を招いた。道理からいって当然である」とウィキペディアに記述されています。後世は神格化されて(関帝聖君)となり、47人目の神とされる。現在は商売の神として世界中の中華街にある関帝廊で祭られており、神戸の関帝廟や、横浜中華街の関帝廊でもその姿を拝むことが出来ます(「美髯公」とも呼ばれる関羽。そのヒゲに驚いて下さい)。「武将として理財にも精通していたため、商人は「財神」すなわち金儲けや商売繁昌の神として信仰しています。 武将にとっても商人にとっても一番大切なものは信義・信用という点から、商業神としての信仰も厚く奉られています」(横浜中華街関帝廊のサイトより)。
小説『三国志演義』では、身の丈9尺(約216cm)、2尺(約48cm)の髭と形容され、『レッドクリフ』シリーズではモンゴル人俳優バーサンジャプが猛々しく関羽を演じていました。韓国では関羽に最もよく似合う俳優投票を行ったところ、チャン・ドンゴンが1位になっています。亡くなったのが219年とされる人物ですから、実際の彼がどうであったかは伝説の域を出ませんが、『三国志英傑伝 関羽』で関羽を演じるのは超の付く売れっ子ドニー・イェン(『孫文の義士団』、『処刑剣』)。武術の達人が、本作では青龍偃月刀(関刀 ※ただしこの時代にはこうゆう武器はまだないが、関羽の代表的な武器になっている))を手に、馬に乗って闘うという今までとはまた異なる凄まじいアクションを披露している。次々と放たれる刺客との死闘もバラエティに富み、孔秀(『MAD探偵〜7人の容疑者』のアンディ・オン)との細い通路の死闘は特に印象的。
そして本作の大きな注目は、チアン・ウェンが曹操を演じていること(『レッドクリフ』シリーズで曹操を演じたのは『運命の子』のチャン・フォンイー)。主演を務めた『紅いコーリャン』(86)、カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した監督・主演作『鬼が来た!』(00)などで知られ、その後は『陽もまた昇る』(07)、<譲子弾飛>(10)といったより独自な路線を進んでいるチアン・ウェン。存在感では中国映画界で右に出る者はいない風格を漂わせていますが、香港出身のアラン・マック監督(本作はフェリックス・チョンと共同監督、二人で『インファナル・アフェア』シリーズ、『頭文字D THE MOVIE』、『傷だらけの男たち』などを手掛けている)は、筆者も抱いた懸念に対し「多くの人々はドニー・イェンとチアン・ウェンはスタイルが違うから組み合わせは合わないよと警告してきました。なぜならばチアン・ウェンは現場を仕切ってしまう俳優だからね、と言うのです。でも現実は、(主演の二人は)お互いをフォローしあっていました」。「チアン・ウェンは素晴らしい監督でもあります。そんな彼に私は指示していいのかわかりませんでした。彼は曹操についてどう演じるかを詳細に話してくれました。彼は俳優として私に話しかけてくれたのです。繊細さを含めて、彼は最高の中国の俳優だと思いました」と語っています。
関羽が忠誠を誓う劉備の許嫁で、関羽が思慕を募らせる綺蘭を『カンフーサイボーグ』のスン・リーが演じています。関羽の唯一の弱点でもあり、自分の側に関羽を付けたい曹操は彼女を利用しようとしますが、関羽の忠誠は揺らぎません。本作のキャッチコピーは<男なら「義」に生きろ!!>。年金制度などの社会保障の信頼や、終身雇用制度が崩れた昨今の世の中で、男も女も何に「義」を貫くのか。東京電力や原子力安全・保安院には「義」があったとしても、国民ではなく違うところにあったのではないか。年始に現代における「義」のあり方に思いを馳せてしまう作品でもあるのでした。






















